南三陸町緊急支援報告I (2011年3月28日~31日)

樹木葬・桜葬の会員の皆様方におかれましては、この度の東日本震災の緊急救援に、物資のご支援ならびに寄付金を頂きました事を厚く御礼申し上げます。またここに現地の状況ならび支援活動のご報告を申し上げます。

物資は2011年3月28日より31日にかけて、宅急便および直接お持ち下さったものが次々に天徳寺に届けられ、箱数では約100箱になりました。それを駆けつけて下さった会員の方とお寺の関係者で仕分けて、規格を統一した段ボール箱に品物ごとに入れ替え、そのうち60箱をレンタカーのライトバン一台に詰め込んで3月31日夕刻に出発しました。車に入りきれなかった物資は次回の訪問時に届けます。

途中、埼玉で同行者と待ち合わせ。同行者は、一昨年の天徳寺のタイ寺院への供養ツアーで知り合った男性の角谷さん。たまたまこの方の務めている会社が海苔の卸問屋さんで、お寿司屋に海苔を卸すついでに南三陸町の生ワカメも販売しているため、同行したいと申し出て下さいました。

そして4月1日に南三陸町に到着。まずワカメ会社を訪問して工場長と従業員の協力を頂き、支援物資の配布を開始しました。南三陸町の避難所で最も大きい避難所の「ベイサイドアリーナ」は全国から支援物資が集まっているものの、末端の避難所には支援が届きにくいという現地の情報をいただいて、私たちは最初に、南三陸町の北のはずれにある「泊浜生活センター」に向かいました。

泊浜生活センターには約540名の避難者がいるという情報でしたが、訪問時には、半数以上の避難者が津波をまぬがれた高台の家や、町外の縁者を頼って移り住んでいた状況です。配布方法は、写真のように必要なものをそれぞれ取ってもらう形をとりました。


次に向かったのは隣の地区にある避難所「馬場中山センター」。120名の方が避難されていましたが、ここでは殆んどの方が津波で壊れた家屋の片付けに忙しかったため、代表者の方にダンボール単位で渡しました。この地区は100戸のうち95戸の家が全壊だそうです。

その次に向かったのは、南三陸町の南のはずれにある「松林寺」というご住職のいないお寺。ここには150名が避難されていて、ここで残りの物資を下ろしました。

これで持ってきた物資を全て配布してしまいました。南三陸町の避難所は42箇所ありますから、ほんの一部です。しかし訪問した避難所では歓迎されました。事前に調査した必要な物資を集めて届けたことも功を奏したわけですが、わざわざ周辺地の避難所まで足を運んだことも喜ばれた理由でした。現地のワカメ会社の方の案内があったおかげです。

南三陸町の最大の避難所「ベイサイドアリーナ」には、支援物資のダンボールが10段もの高さで積み上げられていました。しかしそれが周辺地区の避難所には充分に行きわたっていないそうです。理由を伺うと、各地区の区長が必要な物資を地区ごとに集計して取りに来るよう役所から言われているが、各避難所ですべきことが多すぎる、集計したり取りに行く暇がない、ガソリンも僅かで何度も行けないとの事でした。

これは早く外部から物資を的確に配布するボランティアが、運搬車両と共に入らなければ、緊急の物資が無駄になるでしょう。しかし今後は物資配布が進み出すでしょうから、しばらくはさらなる物資支援は必要ないものと思われます。ともかく皆様からの物資をベイサイドアリーナに下ろして、人の手に届かない事態にならずに良かったと思いました。

三ヶ所の配布先で特に望まれたのが下着と長靴でした。そこでお寺に戻った翌日の4月4日に宅急便で計40足の長靴を三ヶ所に送りました。下着も数日のうちに購入して送るつもりです。

現地で今必要なものは何ですか、と訪問した先々で伺うと、お風呂に入りたいと多くの方が答えられていました。現在、ベイサイドアリーナには自衛隊が設営した仮設風呂がありますが、周辺地区の避難所の方はそこまで行く機会がないそうです。調べてみると二ヶ所の避難所で民間団体が仮設風呂の建設を始めました。行政が動かないのは緊急性が低いからでしょうか。しかし日中、埃にまみれながら瓦礫を片付ける作業に追われ、震災の日からずっとその汗を流せないまま避難所で寝る生活は、衛生面でも精神面でも大きな負担になっているに違いなく、お風呂の設置は物資に次ぐ重要な支援となるはずです。天徳寺も現在、皆さまから頂いた寄付金で避難所にお風呂の設営をと考え、現地の方に調査を依頼しております。

なお現在、南三陸町では近隣の市町村に集団移住する計画が進んでいます。しかし多くの方は、現避難所にとどまることを希望しているそうです。今後の天徳寺慈しみ基金での支援計画は、緊急物資支援は南三陸町の住民が仮設住宅に入りだしてから再開しようと考えています。そのときにはもっと様ざまな物資の供給が必要になるでしょう。その際には、今お寺に残った物資を届けると共に、また皆様にご協力を頂く事になりそうです。

被災からの一カ月は物資による緊急支援が必要とされますが、その後は〝復興″のための支援が大切になってきます。ひとりでも多くの子どもたちが、1日も早く安心して過ごせるように、現地に事務所を置いて活動する団体を通して、被災地の子ども達の心のケアを行う予定です。

皆さまのご支援を、宜しくお願い致します。

天徳寺住職 二神成尊 合掌